ユリコフ・ワールドの独特な世界観の始まりは『人間観察』という。
名前やタッチから、男性?外国人?
そんなまわりの反応を楽しんでいる本人と京都で会ってきました。
interview & text 西村智亜希(vision track)
今回のインタビューは、事前にユリコフさんにとっての
特別な場所を指定していただきました。
待ち合わせをしたその場所は、烏丸御池のスターバックス。
コーヒーを飲みながらのゆったりインタビューです。
西村:まずは誰もが気になる所なので、ユリコフさんの名前の由来を
教えて下さい。
ユリコフ:自分の描くイラストが男の人が描いたようなタッチだったのと、
誰を描いても、日本人ぽくならなかったので、国籍不明、性別不明な
名前にしようと思いました。
周りにもすぐに覚えてもらえて、定着率が良かったので、これにしようと。
最初は恥ずかしい気持ちもあったのですが、今では馴染んでいます。
西村:確かに馴染んでいますよね。
今のような描写スタイルの始まりはいつ頃ですか?
ユリコフ:実は、大学に入学した時はカメラマンかデザイナーになろうと思っていたんですよ。
それが、授業の課題で人間観察をしてドラマ仕立ての冊子を作る機会があり、
カフェに行っては、人の会話をこっそり盗み聞きながら、
スケッチをしたんですね。その仕上がりを先生にすごく褒めていただいて、
『この方向で行ったら?』と言われてから今に至ります。
西村:どんな場所で人間観察されていたんですか?
ユリコフ:それがこのスターバックスなんです。
学生の頃は、雨の日も風の日も毎日通っては、観察とスケッチの日々でしたね。
気がついたら課題が終わっても、毎日通っている自分がいて。
今でもアイディアを練るときは必ず来ます。
西村:ここのスターバックス、私が今まで見た中で一番開放感がありますね。
ユリコフ:お店が大通りと小道のL字の作りだから行き交う人がよく見えるし。
そうなんです。ここで毎日観察とスケッチしていると、
もちろん自分も観察される訳です(笑)
外国人のおばあさんにはっきり分からないんですが、
おそらく『描いて!』って言われたような気がしたので、
そのおばあさんを描いてみたら、すごく喜んでもらったり。
おばさん達にも声を掛けられますね。
西村:なるほど。だから、ユリコフさんのイラストは
リアル感があるんですね。
人間観察をする際はどういう所をポイントにしているんですか?
ユリコフ:私は、「皆、必ず意外な一面や、面白いドラマを持っている。」
という考えが基礎にあるんです。だから人を観察する時は、
「この人は、どんなドラマの中にいるのかな?」
と思いながら見ています。
西村:そこで想像したドラマがどにょうに作品になっていくのですか?
ユリコフ:ある人を見て、そこで想像したドラマを、そのまま描いたり。
これはスケッチ感覚ですね。
そこにその人が持つ変な癖や話し方を思い出したりして、
絵に人物が持つ味を重ねていく感じを特に意識しています。
観察したものが絵に反映していない場合も、何かしらの
ドローイングのヒントやアイディアとして
蓄積されていくんですよ。
【ここで場所を近くにあるギャラリーカフェ、
ニュートロンに場所を移す。】
西村:ここでは以前に個展をされていましたよね?
個展のタイトルが、『ノウミソがカユかった日』、
『非常に安定した未来』。センスが匂いますね。
ユリコフ:そうですか?(笑)
観察をしている時に人の会話をこっそり聞いてみて、
面白いと思った言葉やニュアンスを拾って帰るんです。
個展のタイトルや作品自体のタイトルはそこら発想することが多いですね。
【ここで人間観察とスケッチしていただけます?』
との唐突なお願いをしてみる。】
数メートル先に座っていた老夫婦のスケッチを始めるユリコフさん。
ものの3分で完成すると、コースターから外国の香りが。
西村:この絵を見てもそう思うのですが、
カルチャー系や男性ファッション系にぴったりくるのは何故だと思います?
ユリコフ:カルチャー系の方は、人を笑わせたい、という気持ちが
ベースにありますよね。私の絵の中には「オチ」とか「シャレ」を
入れることが多いからかな、と思います。
描きたい絵のベースは、ちょっと距離を置いた感じのする絵なんです。
男性ファッションは、私自身が男の人の服に憧れがあって、
いつもかっこ良く描きたい、と思っているのが大きいですね。
ぴったりくるのは、男の人イラストの方が、距離感を想わせる
『哀愁』を漂わせても様になるからかな、と思ったりもします。
【最後に少し歩いて向かったのは、
京都人の憩いの広場、京都御所。】
西村:ここはどんな思い入れがあるんですか?
ユリコフ:家で絵を描いていると、どうしても煮詰まってしまう事があって。
一日家に居るのも嫌なので、描いていても進まないな、と感じたり
気分転換したいな、と思ったらここに来るんです。
西村:ここではひたすらリラックスですか?
ユリコフ:そうですね、季節や空気感を感じれる場所なので、ただボーッと
していたり。でもやっぱり面白い人を見かけたらスケッチしたりしますね。
いろんな世代の人がいろんなシチュエーションで集まっていて、
それぞれのドラマがあって。
西村:やっぱり観察してしまうんですね!
ユリコフ:そうですよね(笑)。
日々の人間観察から生まれるユリコフ・ワールド。
今度はどんな人間観察から生まれるドラマが見れるのでしょうか。