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大胆な筆先から広がるヴィヴィッドな世界
秋冬のファッションイラストに主張のある彩りを添えて





interview & text 西村智亜希(vision track)

西村:長谷川さんのイラストに登場する女性は何かメッセージを持っているような印象があるのですが意識的ですか?

長谷川:そう言って頂けると嬉しいです。それぞれに意志がちゃんとあるというか、まっすぐな子が好きというか。
自分でもうまく言葉にできませんが、描くとそういう子が生まれるというのが近いですね。絵を観てくれる人が、それぞれイメージを膨らませて欲しいという想います。もちろんお仕事によっては描き込みもしますが、なるべく限定されないように、余白を大きくとる事が多いのです。

西村:人物を描かれる時は、被写体に誰かをイメージされます?

長谷川:人物は特にモデルがいるわけではないですね。
映画の中に登場した人や普段の生活の中で出会う人の印象がそれぞれ残っていて、そこから出てくる感じです。その時の自分の感情を重ね合わせる事もありますしね。



西村:着色の際にあまり色数を使わない作品が多いような印象があります。

長谷川:自分の好みですね。引き算タイプなので・・(笑)。たとえばキャミソールにジャケット羽織ってスカートをはいていたら、全部に色をのせるよりはどこかを「抜く」方が好みなんです。風通しがよくなるというか、軽くなるというか。色も2色プラス1くらいが丁度いいですね。

西村:その引き算の中だからヴィヴィッドな色使いが効いてくるんですね。

長谷川:『色』は私にとってすごく重要な要素なんです。歩いている人や友達の着ている服とか映画とかパッケージなどの色が気になるんですね。アフリカや南米の布、沖縄の紅型、手ぬぐいなどの布ものや、アウトドアショップもカラフルで楽くて。パステルカラーに縁がない子供だったので、そういう環境も影響してるかもしれません。色があるところならどこでも楽しめるタイプです(笑)。情報も「色」から入って来て最後まで残るのはやっぱり「色」なんです。

西村:なるほど。以前リーバイス渋谷パルコ店内の壁画を描かれていた作品は大胆ですよね。壁に直接描かれていましたが、それからもシャッターに描かれたり、黒板に描かれたりと修正ができないお仕事も多いようですが?

長谷川:現場描きの仕事はリーバイスのパルコ展内の時が初めてで、緊張しました。単純な絵なのに手間どったのを覚えています。シャッターは最初はラフなしで、その場で考えながら描いていたんですが時間がかかってしまったので、今はラフを固めてから描いています。黒板は修正ができないうえに下書きもできないので迷わず勢いですね(笑)。常に人の目がありますし、その程よい緊張感も大事だと思います。

西村:シャッターに描かれるイラストなどはペインティングの大振りな筆遣いと普段描かれる作品の大胆な筆遣いと共通する部分が多いにあるような気がしますが、いかがでしょうか?

長谷川:画材が変われば多少絵も変わりますが、基本的に筆で勢いよく描くほうなので、そういう印象になるんだと思います。描き方が男らしい、とよく言われました。筆が好きなんですよね。すごく。筆跡が残った絵とか。時々ちまちまと描きこんだりもするんですが、いつも結局上手くいかないんです。他の人の絵みたいに見えたりして・・。シャッターは自分の描き方とサイズが合って居るんだと思います。

西村:過去に東京ワンダーウォールに入選されていますよね。今の作品のテイストは、その時と異なりますが何か転機があったのでしょうか?

長谷川:女の子の絵は小さい頃から描いているいわば定番で、風景はここ3、4年で描き始めたものです。ワンダーウォールに入選した絵は初期の頃のものです。もちろん人物も描いていましたが、それもアクリルで描く事が多かったんです。久しぶりにまたインクを使ったら楽しくて、そこから今の絵に繋がっていったと思います。
ペンで描いていた頃の線やアクリルで描いていた頃のタッチやカラーインクの持つ面白さなど、バラバラだったアイテムが繋がりだして、自分らしく描けるようになってきた気がします。

西村:ファッションイラストを描かれだしたのも、そんな流れからなんですね。

長谷川:どちらかというと「ただいま」という感じです。ただもっと色々試してみたいなと思うようになりました。もともと好きで描いてきたものなので、求められる機会が増えたのは単純にすごく嬉しいです。

西村:長谷川さんが好んで描くもチーフなどはありますか?

長谷川:気づくと横顔を描いています。母親が絵がうまくて、彼女の描く線が好きでした。チラシの裏とかにさらさら〜と描くんですが、横顔の線がきれいでしつこく真似しました。描き始めは手慣らしもかねて横顔から入ることも多いです。あとは花とか。インクで描く花は表情がどんどん変わっていくのが楽しいんです。

今回インタビュー掲載にあたり、事前に今年の秋冬向けのファッションイラストを長谷川さんなりのアプローチで描いていただきました。到着した作品はどれも装うことで高潮感を感じるような雰囲気です。

素材や色でスタンダードな装いにリズムをつける。イラストを描く表現のひとつが、実際の身近に楽しむファッションにも通じていて、リンクしていく様が面白い。

西村:今回描いていただいたばかりの秋冬のファッションイラストのテーマを下さい。

長谷川:寒さを楽しむことですね。好きな色や好きな感触のアイテムをまとって楽しく、かつ暖かく!秋冬はどうしても暗い色を着がちになるので、鮮やかな色のストールを巻いたりしてもいいし、いつものコートからファーに変えるだけでぐっと冬気分が盛り上がると思って。そんな気分で描いたものです。


長谷川さんの大胆な筆先から生まれる、鮮やかで主張のある表情を持つ作品をこれからもpict-webを通じてお届けしたいと思います。

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