| 庄野:話は変わりますが、画材は水彩をメインで使ってらっしゃいますが、山本イラストレーション制作室を設立された頃の作品は水彩で柔らかく、クリアーなタッチで、モチーフは家族や女性、子供、テーマとしてもエコロジー、ライフシーンを中心に描いてらっしゃいましたよね? 山本:ええ、そうですね。 庄野: 最近の作品を拝見していると、今回のISSUEで発表していただく作品もそうですが、同じ水彩でも濁り、にじみを生かし、渋めな色遣いでモチーフは男性、テーマとしてもハードなものが多く見受けられます。 山本: 以前の作品は仕事として求められているもの、それはアットホームな家族であったり、エコロジーを感じさせるものであったり見た目きれいなものを描いてましたね。でも、それも嫌いで描いていた訳ではなくて、そういった表現が得意でもあったし好きで描いてました。ただ、いちばん僕が影響を受けた師匠の横田努もボブ・ピークなどアメリカのアーティステックで重い表現のイラストレーションにかなり影響を受けていて、そこが自分の中でも原点になっているので、いつの間にか自分の表現もそこに近づいていったんだと思います。 庄野:3年前からは東京にも事務所をもたれて、大阪と東京を行き来しながら活動の場を広げてらっしゃいますが、その時期と絵が変わってきたタイミングが合うようにも思いますが、やはり影響しているのでしょうか? 山本:実はその前から、今のタッチでも描くには描いていたんだけど、大阪ではコマーシャルベースの仕事がほとんどで重厚感のある作品を求められることが少ないけど、東京では出版の仕事も多く、そういった作品が受け入れられる状況があったので、今のような作品を描ける機会が自然に増えたんだと思いますね。 庄野:今回の作品はすべて男性がモチーフになってますが、山本さんのなかで影のテーマは「戦う男」なんですよね? 山本:東京で一人で格闘している自分の今の状況を投影してますね(笑)。「戦う男」に限定している訳ではないんですが、男の力強い姿勢、気持ち、ダイナミックさを出したいと思って描いてます。 庄野:では、今回いちばんこだわっているところを教えてください。 山本:今回はネット上での展示なので難しいんだけど、マチエール、絵肌にこだわっているので本当は一点、一点の原画を見てもらいたいです。ただ、絵肌が感じられない状況のなかでも魅力を感じてもらえるように、絵の具同士が混ぜ合わされて出来る染み、元々人物を得意としているので、人物のシルエット表現にもこだわってます。 庄野:敢えて多くを描かない寡黙な絵のなかに、多くのことを語っているハードボイルドなところがかっこいいです。きっと特に同年代の男性に響くのではないでしょうか?大人な絵です。 山本:描かない、というのは僕にとってはどうも物足りなくて、とても不安で勇気のいることなんだけど、とにかく筆の置き所が難しかったです。 庄野:今回の作品シリーズの他にも、「日常茶飯絵」「線描」「七人の筆侍」など次々と新しいシリーズを展開してかなりの枚数の作品を描かれてますよね?しかも、どのシリーズもかなりの本気度で。 山本:いろんなシリーズを描いてはいますが表現の仕方が単に違うだけで、僕のなかではどれも同じ延長上にある作品なんです。 庄野:山本さんの中では絵を描くという行為の中ではどれも違いはないということですか? 山本:ほとんどないですね、ただそれが絵の具を使うのか、色鉛筆を使っているのか、ペンを使うのかくらいで、描くテンションや意識は変わらないですね。 |
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| 「日常茶飯絵」 | |||||||
| 「線描」 | |||||||
| 「七人の筆侍」 | |||||||