大阪のビジネス街にあります「Contents label CAFE」はオーナーの奥山さんの目にとまったアーティストの企画展がカフェスペースの1F&2Fそして階段部分の壁面等を利用して行われてます。今回は奥山さん発っての希望でいぬんこ純情派展(同時開催:チャンキー松本の世界)が実現しました。そこで、会場におじゃまし、いぬんこさんとチャンキー松本さんに直撃インタビューをしてきましたので、その様子を写真を交えながらご紹介します。11/11(日)まで開催中ですので興味をもたれた大阪近郊の方がぜひ御来場ください!

インタビュアー:倉持あくび(フリーライター)

倉持あくび(以下:あくび)「じゃぁ、まず、各作品についての説明をお願いします」
チャンキー松本(以下、チャ)「やっぱり、この作品『はじきよ』(左上写真)から始めないと」
あくび「これはどういう作品なんですか?」
チャ「『はじめにきよし』というアーティストがいて、『いえ』という彼らのアルバムのジャケットのデザインをいぬんこさんが担当したんです。それまでの絵のイメージとはガラッと変わったので、この絵が今回の個展の出発点と言える作品で、あーる」
いぬんこ(以下:犬)「そうです。こんな感じで、今まで描いてなかったシンプル風景画で展覧会したいな、と思ってこの個展をやりました」
チャ「風景画というよりは、心象画じゃないの?」
「心象風景かなあ。現実にあるようなないような・・・不安な感じの広がりがある・・・ちょっとせつなくドキドキ(笑)。常に地平線がある絵を描きたい、と思いました」
あくび「ほほう。そう言えば全てに地平線が!」
あくび「続いてえーと、チャンキーさんとの合作があるって聞いたんですけど・・・。」
チャ「こちらです(右上写真)。基本的に2人の合作です。技術的にいぬんこさんが絵の具を使えないので、彼女の絵を僕が絵の具で模写しました」
「これは、道に迷ったときにぐるぐるする感覚を描きました」
チャ「これはある意味、いぬんこの心象風景やと僕は思うねんけどね。全ての作品に言えることやねんけど、心象風景って基本的に、べたついてたり湿ってたりするもんやねんけど、犬んこさんは乾いた感じで描ける力を持っていると思う。それが面白いんちゃうかな」
あくび「正にその通りですね!」
チャ「次は、今回のテーマである『だるまちゃん』を紹介しておきましょう」
「1ヶ月に100枚描こうと思って描いてたんですけど、描いていくうちに、90枚目くらいから何かこう・・自分の分身であるようなないような、恥ずかしい変なキャラクターとして、『だるまちゃん』が現れました。これは仮名で、正式名称募集中です!」
チャ「これもある意味いぬんこやもんね。だるま自身が」
「『だるまちゃん(仮)』の修業風景なんですけど、この海は『だるまちゃん(仮)』の涙でできているんです(笑)」
あくび「なるほど!」
「空虚な心の中はすぐ涙で一杯になるんです」
チャ「『だるまちゃん(仮)』については、僕がうまいこと説明している文が会場にあるので、ぜひご来場いただいて読んでください!」

ここで、2ショット撮影。まるで新婚夫婦のような二人!? 仲良きことは美しきこと哉。
あくび「視点が全てあおり(下から上に向けた構図)なんですが」
「空がすごく描きたかったんですね。今回は青空と地平線がテーマなんです。広がりのある絵を描きました。全て自分の・・見る人の視界です。絵に参加できるように」
あくび「う、美しい!」
「あんまりキメキメにこっちを見ている人もいないし、ポーズも決まっていないんです」
あくび「あと、色が特徴的ですよね」
「赤が好きなので効果的に見えるように心がけています」
あくび「紅とかえんじ色じゃなく、朱ですよね」
「そうですね」
あくび「赤を活かすための緑や青の色合いも絶妙です。正に『いぬんここカラー』。」

あくび「では、階段、壁面にて同時開催中の『チャンキーの世界』を」

チャ「ここにあるのは、今年6月にやった、僕の個展に出した作品たちです。『スペースが埋まらないかもしれない(泣)』といういぬんこの弱気な発言により、ここだけ僕の作品になりました。ひとつだけ最新作で、11月23日にある友だちのバンド『ホットヒップトランポリンスクール』のイベントのチラシ用です。イベント時、壁に僕の作品を飾りますので、興味のある方はぜひ! お待ちしてます。話を元に戻すと、このシリーズは基本的に写真とかチラシとかの一部を適当に持ってきてパッパと描いていくもので、『これが言いたい!』というものはまっっったく、無いです。あんまり何にも考えてません。見たまんま」
あくび「(笑)」
チャ「これは『誰でも心の中に馬を飼っている』と言う絵なんですが、この辺りはある宗教のパンフレットから抜粋しました。タイトルはJRAの高倉建さん出演のCMのコピーそのまんま(笑)。個展をやった時に思ったのは、オリジナルとか、自分を全面に出す個性とかにこだわるよりも、同じようなものを描いてそこから僕が変なものを『描いてしまった』というズレを楽しむという、そんな風にしたいな、と思いました。1枚1枚に意味がある訳ではないです」
あくび「なるほど! 個人的には特に、この絵が気になるのですが・・・。」
チャ「『ヨーグルトガール』ですね。これも偶然です。先に女の子を描いていて、この辺りのスペースが余ってどうしようかと思って。適当に資料をめくっていたらこういう写真があって、模写しただけなんです」
あくび「資料とは?」
チャ「映画のチラシとか。街を歩いていて、気になるものをできるだけ集めるようにしています。だから、今回の犬んこと対照的なんですよね。テーマとかは全くないです。ま、絵は絵やし。描いちゃったら同じ(笑)。夫婦やから。結局、出来上がったものはヘンテコなんですね。因みにこれは全て絵の具で描いています。世界に挑戦したいんでいいギャラリーがあったら教えてください」
あくび「世界!?」
チャ「言葉の通じない人々からの反応を知りたいですね。しかし、なんかオレしゃべってるよねー、弁論家(笑)!?」
あくび「質問せずとも全て話してくれる(笑)」
チャ「どんどん進むよ! 絵が好きとか音楽が好きとかってくくらない方がいいと思うんですよ。何かにこだわると、だんだんマニアになっていくので。これって決めてしまわないで、心をオープンにして貪欲に、かつパワフルに!」
あくび「何でも吸収していくと!」
チャ「絵はどうでもいいんですよ! 結局のところは」
あくび「どないやねん(笑)!」
チャ「何でもそうなんだけど、『絵』とか『音楽』とか器を越えたところに面白さがある、と」
あくび「なるほど」
チャ「意識してできることではないですけど」
2階に上がってきた一同。

あくび「では、『犬んこ純情派』に戻って」
「1ヶ月で100枚描いたんですけど、アートになりすぎず、マンガになりすぎず、微妙なところを狙ってみました。どんな人が見ても、『キュン』とするように」
あくび「キュンっとしました(笑)」
チャ「犬んこは今回迷ってるんですよ、今の時点でも」
あくび「えっ!? 爆弾発言ですが!!」
「今までと方向性が違うので。これまでは、笑いが最優先で直球勝負だったんですけど、一歩引いた感じでやったので。正直今でも迷っています。やりたかったのでやってしまいましたけどね」
チャ「イラストレーションっていろんなタイプがあって、皆さんそれぞれ実力があるんですけど、その中で鈍くさいじゃないですか、犬んこの絵って。けしてトンがってない。少し時代遅れで一見したらアートというところから離れているようですが、そんなの関係ないと。この味は犬んこからしか出ないものだから。その点で今回の個展は成功じゃないかな、と。旦那のわたくしが(笑)。旦那の立場を無視して1アーティストとしていいたいんですが。僕は本当に彼女を尊敬していて、いつも『身近な天才』と呼んでいるんです。天才という言葉は余り使いたくないんですけどね。青空亭としては、格好悪いものとか鈍くさいところをどんどん見せていきたいです。そういうものを今までないやり方で創っていきたい。いろんな人をくすぐりたいですね」
チャ「余り絵を見ない人でも伝わるように、というのが常にテーマです」
あくび「ありがとうございました。こんなに真面目に語っているお二人を初めて見ました(笑)」


2001/11/2 Contents Labe Cafe にて
special thanks to Contents Label Cafe